Friday, July 13, 2018

イタリアの旅自転車編 その5

ということで、僕らはクラッシック自転車で、昼まで遊んで街に帰って来た。
夜の間に降った雨はすっかり乾いて、爽やかな風が吹いている。
 下の写真は街の中。川のほとりにある柵にプランターが置いてあり、色とりどりの花を咲かせているんだけど、僕はこの朝、プランターのちょっとした秘密を見てしまった。
朝日が昇る頃に近所のおばあさんが一つ一つ丹念に水をやっているんだ。
もう結構な歳で歩くのもあまり上手じゃないおばあさんが小さな水差しに水を入れて何回も往復しながらプランターの花に水をやっている。
この町の景観は、そういう普段目に見えないことの積み重ねで出来ているんだと感じた。
何百年前の建物を直したりリフォームしながらそれでも建て替えたりしないで大事にする精神とか、窓に草花を植えて人の目を楽しませることとか、今の自分の利益や効率だけ考えていると、こういう行動にはならないんじゃないかって思う。
 前に日本のどこかの成金が世界的な名画を買って、「もし自分が死んだら一緒に燃やして欲しいって言って世界中の非難を浴びた」みたいな話があったけど、そういう自分勝手な考えとは対極の考えが文化を育てるのではないかと思う。
 山本君とこの自転車の話をした時にも、80年前の自転車達は自分のものであって自分のものではない。未来の人に受け継ぐためにちょっと借りてるみたいなものです、というニュアンスの話をしてくれた。
日本で古い日本刀を大切にしている人と話した時もそういうことを言っていたっけ。

 「なんでも自分が使い切ってあとは野となれ山となれ」みたいな考え方はこういう歴史と文化を楽しむ娯楽には馴染まない。半減期が1万年ある核のゴミをどうしたらいいのですかという質問に「それは未来の人が考えることであって…」というような回答をした政治家もいたけど、今の効率優先思想の彼は自分と名画を一緒に燃やしてもらいたいようなタイプだと思う。


さて、イタリアの北部は大陸的な地形だからか、川はホントにゆったり流れているので
上り返しもあまり辛くない。景色を眺めながら行きと同じように漕いでいるだけで出発した地点に戻って来られるのである。


クラシックな自転車の時は肩掛け鞄が気分を盛り上げる。
これは友達の奥本さんが作ってくれた帆布のバッグだけど、偶然にも野口君も同じようなバッグを帆布で作って持って来ていた。ミラノの自転車イベントの車検場にもこういうバッグを肩からかけた人はたくさんいた。

ハンチングにゴーグル!これがクラシックな自転車のスタイル。

さて、僕は野口君にお昼をご馳走になることに

スパゲッティボロネーゼと、パンにオリーブオイルをつけている野口社長。
イタリアに来て初めて普通の長いスパゲティを食べたよ。
もちろんおいしい、そして汗をかいたあとの冷えたビールは最高だ。
 
 野口君と僕はこういう時ずーっと下らない話をしている。
周りに誰かいたら呆れるような大人向けのトークとか、ちょっと下品な失敗談とかね。
食事の時の話は、無益なら無益なほどご飯がおいしくなるからだ。
食事の話はくだらなくてちょっと下品なくらいが最高のソースなんだ。


生ハムはバラ色で少しだけ乾いた感じのがおいしいって
ランボルギーニのボディ職人アルナルドが教えてくれた。

これは文句なしにおいしかったな。


大満足である。
ごちそうさまでした♪



バイクに限らず、語学やスポーツに於いても、我々は常にチャレンジャーでありたいと考えている。動画はイタリア語で食後のコーヒー、エスプレッソを注文する野口君。ちょっと大事なところが撮れてなかったけどちゃんとエスプレッソがやってきたのである。外国では言葉が通じるとちょっと楽しくなる。




ほらね、食後には少し甘くしたエスプレッソを頂きました。

朝から運動してビール飲んで、幸せとはこういう事を言うのか、
仕事している山本君ゴメン!

午後は少し昼寝するという野口君、僕はまた縫い物の続きをやることに。
せっかくイタリアなんだもの。


こんなのをWi-Fiで流しっぱなしにして
トントンと穴を開けてチクチク縫っては穴を開けて。また縫う繰り返し
イタリアの昼下がりにオペラ、縫い物、教会の鐘の音
もうまるで僕の人生じゃないみたいだ。
僕には似合わないって? いつも地面に座ってオイルまみれでバイクいじってるし
似合う訳ねえだろsuck!
でもたまにはいいじゃん、許しとくれよ



縫い物がだいたい完成した頃、野口君から電話が来た。
なんと今は8キロほど上流の公園にいるって言うじゃないか。
昼寝から目を覚ましたら僕の部屋からトントンという目打ちの音がしたから
声をかけないで1人で出かけたらしい。

オッケ!って返事してさっと部屋から自転車を出して彼を追跡する。
こういう手軽な感じこそ自転車の最大の魅力。



自転車に乗りながら携帯で動画撮ってもここはイタリア
誰も告げ口したりしないし、そもそも誰もいない。
誰に迷惑かける訳でもない。
すこし風が吹いていて気持ちいいんだ。



この橋はブリーヴィオや自転車のことを説明する時に山本君が我々に送ってくれたメールに添付してあった写真と同じ場所。僕らにとってちょっと特別な場所だった。
それを野口君が発見して教えてくれたんだ。
感動である。

おそらく鉄道橋を人間が通れるように直したものじゃないかと思われる。
対岸に渡ってアイスキャンディーを食べる
こんな時、自撮りが苦手な我々はサッと携帯カメラを交換して写真を撮り合う。
話しながらだとキメ顔にならないし、ちょっと自然になるじゃん。

苦手なものはキメ顔の自撮りのおっさん。
それでもお互い自分の写真は欲しいなんていじらしいじゃないか。







ちょっと横道に逸れて自転車で遊ぶ。もう自然に笑顔になっちゃう。
ファック心拍数だ!

古い農場の跡
レンガをたくさん使っていていい雰囲気の廃墟なんだ。


さあ、帰ってみんなで晩ご飯を食べようぜ!
今夜は金曜日、街のピザ屋でピザをとビールとワインを買って夜のピクニックと洒落ようじゃないか。



続く…


















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