Thursday, April 10, 2014

注文をくれた皆さんへ、鋳物はどうなってるのか?黒鉛の坩堝と外注での鋳造

さてさて、あれほど夢中になってやっていた鋳造ですが
今は全然出来ていません。
一つには自宅での鋳物作業を取り巻く環境が厳しくなって来たこと。
住宅街の一隅で炭火を熾して何時間もブロアー回してやってるから
臭いや音の問題が起きるのは当然だよね。

サンダーや溶接も同じ。以前に比べて作業が出来る時間が本当に限られてきたんだ。

もう一つは鋳物に時間がかかり過ぎてしまうこと。
1回だけでもできる鋳造だけど、
やっぱり一度始めると何回か追加でアルミを溶かすことになる。
砂は3個しかない木枠に手で詰めるから、一度の溶解でポイントカバー3個が限界。
鍋一つのアルミを溶かすのに約40分。流し込んで冷えて型からだすのに20分。

3回やったらだいたい3時間+α支度と片付けを入れると5時間近くかかって
出来たカバーが最高にうまく行って9個、平均1/3は失敗するから、
たった6個のカバーの鋳造に5時間、
そこから穴開けや面を削って、ザラザラな表面を見られるくらいまで磨くと1個あたり3〜4時間くらいはかかってるはず。
正直なところ注文がくるのがかなり憂鬱な状態だった。
僕の鋳物を欲しいと思ってくれるのは本当にうれしくて、ありがたい気持ちがたくさんなんだけど、鋳物を全然楽しくできていないのも本当なんだ。


そうするうちに僕の仕事の関係で自由時間が激減、以前のように平日の昼間ご飯は食べに行けても、鋳物をやったりバイクに触ったりすることがほとんど出来なくなってしまった。

我々が生きていくにはお金が必要で、それには週のほとんどを朝から晩まで仕事をしなくてはならない。
ほとんどの読者の皆さんもそれは同じだと思う。
僕が時間がないと言えばそれは本当にない。今だってもう4時、ブログも寝る間を使って書いてるんだ。
毎日飲酒もしなければハードなドラッグに手を出す訳でもない、ただ仕事して飯食って、こうやって深夜にブログ書いたりバイクの電気関係をいじったり誰かのステッカーの下絵を描いたり、車検のための書類を作ったり、頼まれたメールを訳したり、そうやって自分の時間を生きてる。
休みにバイクくらい乗りたくなるよ。



僕の仕事の形態が変わったことが原因で少なからずこのブログにも変化があった。
更新も間が開いたり、まるで出来ないことも多くなった。
遅々として進まない改造や、注文をしたのにさっぱり鋳造に取りかからない様子に
苛々とされているお客さんも多いと思う。

昼に仕事が多くなった分、夜の時間は多少自由になって来たんだけど、夜はバイクや鋳物の作業は出来ないからね、みんなとラーメンを食べたらその様子をアップすることにするよ。

今までみたいに改造や鋳物をやりまくらなくなってつまらないと思ったら、
他に改造でがんばってる人はたくさんいるからどうぞそっちを見て下さい。


では、お前はもう鋳物はやらないのか??答えは否、鋳物はこれからもやります。
なんと昨日は「黒鉛」という鉛筆の芯と同じ素材出て来た坩堝を買いました。
http://www.rutsubo.com/products_nf/nf_02.html
2リットルの金属が溶かせる大きなやつなんだ。


ずっと鉄鍋でやってたんだけど、やっぱり坩堝と言ったら黒鉛。
容器としてはビックリするくらい高額なんだけど、鉄鍋は脆化してパリパリに割れちゃうし、ステンレスは溶けちゃうし、もう手持ちの容器に代わりがなくなってついに買いました。

注文いただいている牛の鈴は作り方を変えてよりきれいに薄く作れるように必ず完成させます。

でも、今までみたいに注文があったらさっとタイマーカバーを鋳造するようなことはできないので
カウベル型のキャブカバーを除く他の鋳物は商品化までの試作だけを自分でやって、量産は鋳物工場に外注に出させてもらいます。

それによって価格は今より高くなるはずです。

ただ金額が高くなるだけではみんなにメリットがないので、加工や穴開けを加工屋さんにお願いします。
そうすれば、今まで穴の位置が微妙に合っていなかったり、ポイントカバーの裏面に平滑な面が出ていないと言った部分で
手作業からくるご迷惑をかけてしまっていたのが解消されます。
品質も一定になって、みんなが納得できる商品になると思うのです。

ただ、「最低ロット」と言って最低何個作ると言った問題もあるので安易に外注に出したら全てが楽になるということではないのです。
もし、例えば20個が最低個数だと、仮に原価が半分としても10個売れるまでは儲けはゼロ。

原価が7割だったら14個売れるまで儲けはナシ、
初め何軒か聞いた鋳物屋さんたちは、最低200個から、なんてのが当たり前だった。

これでは正直なところ外注の工場にお願いしてまで鋳物を作って売り続けることにどんな得があるのかわからない。

自主制作だからお金があるならそれでもいいのかもしれないけど、
正直なところ続ける気持ち下がっちゃう。
それでも多少の在庫を持ちたいし、鋳物が欲しいと思ってくれる人の期待に応えたいので
いろんな人に協力してもらって、量産の手配をしています。
そんなわけで、まずはポイントカバー、1番と無地、69、こちらはもう少しで量産できるようになるはずです。

量産の鋳物をしなくて良くなった分の時間は自分のバイク作りやステッカーのデザインやその他の新しいことにチャレンジさせて下さい。

あと、以前から注文をいただいている方は以前の価格で大丈夫です。
正式な価格が決まったり、販売の日がわかったらまたここで書きます。

坩堝が来たのでもちろん自宅鋳物も再開するよ!

ではもう寝なきゃだ!


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