Wednesday, October 24, 2018

僕にとって本当にいい文章って何か

こんな事書くといろんな人を敵に回しちゃうかも知れないけど、誤解を恐れずに言わせてもらえば、今の雑誌、それも専門誌はかなり文章がつまらない。
好きな分野だし、そこから情報を得たくて、頑張って読んでいるが、文章的退屈さにおいてはかなりのものだと思う。実際、文章がほとんどなくて読むところがない本も多いでしょ?
もちろん写真誌と思えば何も問題はないんだけどさ。
文章の内容とは別に、一冊の誤字脱字の量もかなりの分量だなって思う。
実際、僕もしばらく専門誌の内側にいたこともあり、なぜそうなるのか、何となく仕組みがわかったような部分もある。
現在作られている専門的な雑誌ってほとんど一人の編集長が記事を書いてチェックも自分ひとりという孤立無援スタイルなんだ。
文字校正を専門にやる人を雇う時間も予算もないので、仕方ないのかも知れないが、締切りギリギリにひとりで作業をしてたらどうしても間違いは多くなってしまう。

もちろん、それは文章の内容や巧拙とは関係なくて、ひとりで作っていても面白いバイク雑誌はちゃんとある。


さて、僕にとって本当に面白い文章とは、もともと特に興味のない分野について書かれたものでも、読み進めるうちに、その世界にどんどん引き込まれて読むのがやめられなくなってしまう文章。
例えば吉村昭はそんな力を持った作家だった。破獄 高熱隧道

 読んでみなって!ホントに引き込まれてやめられなくなる。

そして現代にもちゃんとそんな作家はいて、
鈴木智彦氏がその一人だ。「サカナとヤクザ」https://www.shogakukan.co.jp/books/09380104


僕らが普段口にしているアワビもうなぎもカニも実はほとんどがヤクザの手による密漁品で、その代金が暴力団の資金源になってる。
信じられないだろうけど本当のことだ。
作者は5年もの歳月をかけて築地市場に潜入取材したり、密漁の現場に突撃取材をしている。僕と同じ歳、バイク好きの作者だけに機械のディテールの描写などにも心を奪われてしまう。
僕は今回、誰かを褒めるために誰かを貶しているんじゃないよ。
専門分野で我慢して読まなくてはいけない文章もあれば、元々まるで興味がなかった分野でも本当に読者を引き込む力がある文章もあるということを伝えたい。

教科書のつまらない文章にすっかりやられて、雑誌を眺めても文章のところは飛ばして読んでるような活字嫌いの君にこそ読んでもらいたい。

「サカナとヤクザ」ホントにコマーシャルでもなけりゃ作者と友達とかそんなことでもないけど、おすすめです。
ここに補稿という形でサイドストーリー的なブログがあるけど、これだけ読んでも面白いんだから。


No comments:

Post a Comment