Thursday, December 24, 2020

2019年の冬、バイクで山に行った話

さて、これは去年の冬のお話である。
 

毎年、ホットロッドショーの準備で僕がてんてこ舞いしている頃。
その何倍も大変なことになってる人がいる。
千葉の八街でカスタムショップSURE SHOTを営む相川さんだ。
搬入ギリギリの、まさにその瞬間まで作業をする彼のスタイルは、

本当に最後の最後まで手をかけたいという気持ちの現れなのか、

そもそも作業スタートと終了のタイミングを間違えているだけなのか?

それはよくわからない。
そして2019年のショーでSURE SHOTはベストオブショーのアワードに輝いた。
本当にすごいことだ。

そんな立派な経歴と実力を持つ彼と、自作派の僕は全然接点がなさそうだが、
 

もう何年か前から一緒にバイクで山に行く山友達なのだ。
ツッチーさんが僕がずっと前から行きたがっていた移転前のシュアショットに連れて行ってくれた時だ。

「僕もオフロードやるんですよ」「じゃ今度山に行きましょう!」って初対面の我々は大人っぽく挨拶した。

しかし我々も忙しい盛りの大人。

前もって予定した約束でもなければなかなか丸2日を使ってどこかに遊びにいくのは難しいのである。


ここで出た「山に行きましょう!」が、どこかで消える社交辞令の挨拶にならないように「じゃ相川さんいつが空いてます?」ってその場でスケジュールを交換した。

その翌月に本当に一緒に山に行ったのが始まり。
大切なのはクイックレスポンスなのである。
 初めての山行きは、普段相川さんが遊んでいる場所より狭くてツルツルした急坂で、けっこう走りずらい場所だったのにも関わらずかなり楽しんでくれた。

その後も彼はバイクを買い替え、装備を充実させながら何回も山行きにつきあってくれたのだ。


彼の走り方を見てると、得意なところは迷いなく全開、あまり得意じゃない部分は何度もあき諦めず、時にロジカルに、時に勢いを使って最後にはきっちり攻略するタイプ。

それは彼のバイク作りや仕事の哲学に通じる部分があるように思えてしまう。


さていつものように仕事帰りの夜11時頃集合、

今回の目的地は静岡県と愛知県の県境あたり。
集合は浜松の山側

店の仕事が終わって千葉からバイク積んで来るとだいたい夜の11時、それから運転を交代して牧ノ原に着いたのは2時くらいか、こないだ知ったんだけどこのサービスエリアには仮眠室があるんだ。
空調も効いていて、だだっ広い部屋に利用者は5人くらい、静かだし寝やすい。
ここで明るくなるまで一眠りして、
意外にもあまり安くはないが、味はおいしい卵かけ御飯と豚汁の朝ご飯をたべて
待ち合わせの駅までひとっ走り


我々を出迎えてくれるのはメーカーでテストライダーをしているシンタロー君。
スズキカタナのラッピング電車も我々も出迎えてくれた。

とある駐車場にバイクを下ろして出発の準備。
昔は、現場に着いてバイクを下ろしたタイミングで、前回レバーを折ったままにしていたことを思い出して暗澹たる気持ちになったりしたものだ。

しかしここ15年くらいはちゃんと前日に整備をしたり、乗り終わって緩んだところを締めたりしているので、そんな心配はない。
 

それでも前回飲みかけで数ヶ月放置されていたスポーツドリンクをツールバッグの底から発見したりもする。


静岡は冬暖かい。もちろん泳げるような暖かさではないけど
それでもバイクに乗ることを楽しむには十分な暖かさだ。
バイクに乗ってる時の一番楽しい瞬間はだいたい写真がない。
いつも休憩のシーンか、順番にやるヒルクライムくらい。
今回もシンタロウのパーフェクトなコース設定で本当に楽しむことができた。





後光が射しているぜシンタロウ!
彼と初めて出会ったのは1999年だったか、
気がつけばもう20年の付き合い。本当に不思議なものである。
俺たちもまだ若者だったんだぜ。
これ読んでる君より若い30歳ちょっと。

今では木々や草花の美しさもわかる年頃になったのである。

モンドモトでオーバーホールしてもらったリアのオーリンズサスペンションも絶好調。
それまでオイルが全部出ちゃってバネだけになっていたので絶対的に乗りづらくて本当にダメなのである。
狭い木の間をすり抜けるときも、嫌らしい斜めキャンバーを横切るときも
連続したギャップが続くヒルクライムも、
リアサスの調子がいいと一発で決まるのだ。





写真は本文と何も関係のないパブロフ
ストーブが大好きなんだ。
ストーブが臭くて煙が出るって人は、空気が通る穴と言う穴をキレイにワイヤーブラシで掃除して掃除機で吸うとだいたい直るよ!





この日はみんなペースが良くて、誰かがうまく行かず待ったりしない。
結果的に全然休憩がないものだから、夕方になるまでかなりの距離を走ることになる。最後は走っていても乗っていても、足ががくがく。
つまらぬところで谷側に足が出てしまうマイナス転倒までやらかす始末。

へとへとになってからマイナス側への転倒、これ結構きついんだ。
起こす時はなるべく力を使いたくない。
しかしがんばってなんとかする。
 
我々は基本的にお互いの転倒やチャレンジは手伝わないスタイル。
もちろん疲れてきたり、難しい時手伝って!って言うのである。


そして最後は温泉で汗を流して、さわやかでハンバーグをいただいて、

帰りの車の中ではお互いの近況から、共通の知り合いの話まで、くだらない馬鹿話を延々とやるのだ。

さあ、次はどこにいこうかな。

Monday, December 14, 2020

アイアンスポーツのクラッチを調整する


 
このXLXが初めて来た時のこと。外装やキャブやブレーキを付けてエンジンをかかるようにして、普通にクラッチレバーの遊びを調整して走り出すと、クラッチが滑ってる感じで車体が前に進まない。ワイヤーを調整すると今度は全くクラッチが切れない。クラッチが切れないか繋がらないかの2択。
クラッチが切れないというのはレバーを握ってガチャン!とローに入れたらクラッチレバーを目いっぱい握っていてもズルズル走り出す感じ。
 
本来バイクのギアはチャキッっと入るように出来ているので、ガチャン!となるのは絶対よくないのだ。
 
これは何らかの調整か修理が必要だろうな、と思ってはいたのである。
 
 
今回とりあえず車検くらいは通りそうな感じだったから、ナンバー取って近所で乗ってみたけど、やっぱりものすごく乗りにくい。
疑り深い上に知りたがりの僕はこういう時はとりあえず気になる場所を開けてみるのである。
 
ちなみにこうやってどこにどのボルトがあるかボール紙にマンガを描いて突き刺しておくと
はじめと同じところに入れられるよ。
 

 
でも、このXLXみたいに自分が初めて開けるバイクの時は、
最後にボルトを締める前に全部のボルトを入れてみて、どこか極端に長いのや短いのがないかを見比べたり、ケース側のねじ穴の深さを竹串で測って
これで間違いないか納得してから最終的にボルトを締めるのである。
 
もちろん過去に誰かが同じところを整備しただろうし、その時間違えられてるかもしれないし、
なにしろ僕は疑り深いからね。 

硬いバネを自作簡易コンプレッサーで押し縮めながらはずすと
   なにかがおかしい
クラッチハブスペーサーがグニョって
 
グニョっていうよりグニ? 
これはもう暴力的にねじ曲げられている。フランジみたいにボコッと膨らんでるのは
ナットを締めすぎて強力に押し縮められた結果だ。 

 
 
錆やクラッチのカスが放射状にこびりついてるがプレートそのものは反りや変形はないようなので、きれいに洗ってから、フリクションプレートとの当たり面もチェックする。
 
潰れていない新品のハブスペーサーを組み付けて組み立てる。
 
結果から言うとここに使われていたクラッチのフリクションプレートは全部新品に交換することになった。
 
はじめは3種類あるうちの一番短いハブスペーサーを使ってみたのだけど
マニュアル指定の隙間が少し狭くて、結局ノーマルの長さのスペーサーを買い直して組み付けた。
アイアンのスプリングはとても強いし、世の中にはちゃんとした道具があるので、
それを使うのを強くお勧めするけど
どうしてもやらなきゃいけない時はなるべくスタッドのネジ山に負担がかからないように
こうやってスプリングを押し縮めて上下4本のナットを素早く締めてやれば
専用工具のクラッチスプリングコンプレッサーなしでもなんとかなる。
はじめに4本対角線のでナットが入れば、あとは全てのナットを均等に締めて完了。
 
結局全部で3回ここを開けてやっといい感じになってきた。
 
現在はレバーの全ストロークよりクラッチ側の作動量の方が少し長い感じ。
クラッチが気持ちよく切れてギアがスムーズに入るようにするとワイヤーの遊びがなくなり、
ワイヤーに遊びを持たせるとクラッチの切れがいまいち。
中間の長さのハブスペーサーがいいのかもしれない。
 
 
XLX61のクラッチワイヤー調整
 
クラッチワイヤー調整は、最初にプライマリカバーにワイヤ調整のナットを緩めてから、ボルト部分を目一杯締め込んでレバー側がぶらぶらになるまで遊ばせる。
点検窓を開けて、ロックナットを緩めたらマイナスネジを(僕は)一度緩めてやってから締めていく。これバラして仕組みを見たらわかるんだけど、締めて行くと最後マイナスネジが突き当たる。突き当たりがわからない人は一度ちゃんと緩めて、ねじがスムーズに回ることを確認してから締めてやると、必ず最後に突き当たり感があるはず。
 そこから1/4緩め方向に回してから、ロックナットを締める。
その後プライマリカバーのアジャストボルトでレバー側を調整する。 

あまり切れを優先するとパワーをかけたときクラッチがすぐ滑り出すし、
切れが悪いまま蹴飛ばすみたいにガチャン!ってギアをいれてたら必ずトラブルの元になるので 、どうにもならない時はアイアンスポーツのノウハウがあって腕のいいバイク屋さんで見てもらってください。
僕はそういう友達にアドバイスをもらって作業したららすごく調子良くなりました。
 
 
半ば路上のような僕の作業場。




 
ここは いろんな乱暴なやり方で蹂躙されているのがおおいけど、僕はぴったりな厚みの
アルミの板を使って開け閉めしています。
こっちのプライマリーチェンの
点検蓋はけっこうやられてる。
なにしろもう37年前のバイクだし、その頃今の僕と同じ歳だった人が生きてれば
91歳!
1983年モデルなんて新しいようだけど、人間が楽しくバイクに乗れる時期なんてあっという間の一瞬なのである。
このバイクも何人かのオーナーが入れ替わっているはずだから、
大事に乗ってやりたいものである。

 

Friday, December 11, 2020

スピードメーターを電気式にする話。

スピードメーターだけど、僕はそんなに必要を感じないのである。 
カッコいいのがひっそり付いていたらいい。
オイル交換は春夏秋冬で交換するし、
ウインカーだとかニュートラルのインジケータも特にいらない。
今ニュートラルかなんてバイク乗ってたらわかるだろ?って思ってる。
 
何年か前に行ったアメリカのクラブスタイルのバイク作ってるビルダーは
ノーゲージ(メーターなし)が最高だぜ!って
でもフリーウェイを走るからガソリン残量計はつけるんだって。
 
 
たしかに、ガソリン給油のタイミングはメーターの距離計があると便利。
そこで今までは車検の時も使える1500円の自転車メーターを愛用していた。
 
ただ、ちょっと造形が近代的すぎるんだな。
たくさんある配線を止めるタイラップもなんだかかっこわるい。
 近所のナップスを眺めてたら、電気式メータが半額で出てるじゃないか!
この60ミリのメーターは暑さも5センチ以下で
このライザーの内側のアールにきれいに収まるんだ。
 ちなみにこのライザーは僕が鋳物屋さんに何個か鋳造してもらったうちの最後の一個
平成のプロダクトと思えないすばらしい質感だろ?
 
あまり厚みがないからここにピッタリ取り付け出来そう。
ハンドルを固定するボルトを少し長いのに変えて、
ナット留めでいけるんじゃないかな?  
で、素早く完成。
いつものように紙でステーを作って仮止めしてメーター裏のスイッチの操作性や、
電気式なので振動がダイレクトに伝わらないようにするラバーマウントの
クリアランスを確認する。
紙で作って具合が良かったらサンダーと金ノコでステーを切り出して
ドリルで穴開けて輪郭を整えて完成!
この配線の出口が後ろ向きってのがな…
これは少し考えなきゃ。
 
センサーはスイングアームの下に沿わせてるから
全然目立たない。
このバイクには純正センサーが元々ないので
パナソニックの近接センサーってのを使ってる。
 
ステーがちらっと見えてるけどあまり目立たないでしょ。
メーター本体も黒い方が主張しなくていいかと思ったんだ。 
 
電源入れると青白く光るのがちょっとさー
オレンジ色とか電球色が好きなんだよね。 
もちろんスミスメーターだとか使えたら最高なんだけど
ここに付けるのはワイヤー式では難しいからね。 
上のインジケーターランプはチャージランプと油圧ランプ。
どっちも赤いのにしたいんだけど。
ニュートラルランプじゃないよ
電圧計が付いてるのはこのメーター最大のいいころ。 
最初に試走した時、充電電圧が足りなくて、出先でバッテリーアウトして
その後レギュレーターを調整してやったんだけど、
ヘッドライトを点けたまま渋滞とかアイドリングが長く続くと 
すこしずつ電気が足りなくなる。
電気は見えないからこれは便利。
 
でもさ、取り付けて思ったんだけど、ボディが青いしそんなに悪くないかなとも思う。
これよりは雰囲気あるでしょ。
実際こっちのメーターはオドも好きな数字を入れられるし
小さな照明を付けたら車検もいけるし、2000円しないし
いいもんだよ。
線は少し延長したらリアから取れる。 









 

Tuesday, December 8, 2020

ピンストライプ大作戦

 最近気に入って毎日のように乗り回しているアイアンだけど、
作った時の完成イメージにまだ届かない部分があって
それがピンストライプ。
オレンジのフレア状の部分とバックのブルーの境目をシルバーで塗りたかったんだ。

いきなりこれは作業中の写真。
練習なしで描き始めて、失敗と思ったら思い切りよく拭き取って
また描く方法。練習っていうより手を本物のカーブや起伏に合わせて動かしたいじゃん。
 
これも貼ろうかと思ってたけど
今はいらないような気がしてる。
塗料はご存知ワンショットペイント。
高い気がするけど伸びや被覆力もこれ最高。
今まで苦手だったピンストライプだけど
ワンショット買って来て
眼鏡を変えたらあら!ってくらいいい感じに出来るようになった。
 

 

 
 
これは眼鏡交換前のやつ。
先まで見ながら出来ないから習字みたいに
太さがどんどん変わってた。
これはどうにもならないと思って
思い切って眼鏡を新調したのである。

細かく見るといろいろ気になるが
なんとか最後まで塗った。

ブレーキのインナーキットやリアブレーキのパッドも交換して
どんどん気持ちよくなってきた。
傷だらけだったマフラーも少しずつ汚れを取っては
細かいスポンジヤスリや磨き剤を使って磨いている。
汚れたら洗車して油を注してあげてはいたけど、
バイク磨くなんてことは僕の人生ではあまりなかった。 
いろいろ面白いね。