Saturday, September 26, 2015

ボロくなるまで待てない…

何がそんなに忙しいのか時間がないのか、
新品のピカピカをわざと古びた感じにしてから使う人たちが居て
さらに、まっさらの新品を誰かが使い古した中古みたいに加工する商売まであると言う。

32年前に亡くなった僕のおばあちゃんなら、キセルをふかしながら「世も末だねえ…」なんてことを言うのは間違いない。

確かに、ゴムでできてるみたいにきれいでシワ一つない新品の革ジャン、これはちょっと気恥ずかしい。

デニムでピンピンのやつ、これはゴワゴワして履きにくいってことはあるだろう。


バイクの世界で言えば、全体的に古びた車体なのにタンクの塗装だけがあまりにも真新しくて調和が取れていない。
これもイヤだな。

きれいな物に亀裂まで生じさせるエイジング加工から、ちょっと浮かないようにメッキをスコッチで擦ってツヤを抑える加工まで、いろんなやり方で新しい部品の見た目をボロくして車体に合わせている。

初めは浮いたような気がしているけど、取り付けて乗ってあちこち行ったらそのうち馴染んでくるよ。

しかし、時間がない現代人は「そのうち」が待てないのである。
「そのうち」なんと煮え切らない言葉だろう。
「そのうちなんとかなるだろう」植木等は歌ったが放っておいてそのうちうまく行った試しなどないのである。
せいぜい何も加工していない鉄を野ざらしにしておいて錆びさせることくらい。
しかしこれは雨がふったら今すぐ拭かないと今すぐ錆びちゃう。
「そのうち」なんてのんびりした話じゃない。

タンクやフェンダーの塗装を悪くするのは雨より日差しだったりする。
業務連絡 ERさん
自然に経年変化を付けたい時は、
3Mのスポンジで磨くやつの640~800番あたりで
陽に当たる上面だけ優しく何度も撫でるように擦って
少しツヤを消すといい感じになります。
ツヤが消えると水性絵の具も何となく乗りますので
水性アクリルのリキテックス等を調色して
マークを黄ばませたり、水垢を作ったりします。
水垢は薄く溶いた焦げ茶色を筆の先に付けて流してから
ドライヤーで遠くから丁寧に暖めると
塗料が周辺に残っていい感じです。
最後につや消しクリアを吹いて固定してもいいし、
そのまま他の汚れと一緒になるまで放っておいてもいいです。
ともかくやり過ぎないことが一番。
3メートルくらい離れてやったところがわかるようならやり過ぎです。

やり過ぎは若さの特権
みなさんお元気で。




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