今日はショーに出したバイクのタンクのお話。
こんな感じで出来て来たタンク。このあとウレタンクリアをかけて完成した。
今の僕には精一杯の仕上がり。
もちろんグラフィックやタンクの溶接、バングスの溶接にはみんなの力を借りました。
正確には自分でやったのは部品の切り出しと合わせとパテ、塗装。
あとはグラフックを描いたくらい。
これは最後の仕上げにアクリル塗料でガソリンのシミを再現してるところ。
汚したくはなかったんだけど、ワシの頭とか白すぎて浮いちゃうんだ。
「69」のところを見て下さい。こうやって水っぽく塗料を垂らしてごく軽くドライヤーで乾かすと端だけ濃くなって
ガソリンのシミらしくなる。
それを何度も繰り返して経年ですこしずつガソリンが垂れたみたいにしていく。
こちらはサイズと位置を見るためだけに貼った練習用。
3D曲面にある程度厚みのあるステッカーを貼るので
シワや破綻が出ないかを確認する必要がある。
特にこれは純正より幅が狭くてステッカーも特別につくったやつだから。
貼って細部を確認する。
こっちの方が色あせがないタイプ。
高いステッカーなのにもったいない…そのもったいない行為の積み重ねが
納得の仕上がりを生むと信じてやってます!
で、剥がした練習用はクルマのリアガラスに貼りました。
これはウレタンクリアをかける前、
ちょっと引けたツヤ感
僕はこのくらいで乗りたいな。
シートの輝くような白いサイド部分は悩んだ末に水性のぺんてる水彩えのぐで
少しだけトーンを落とした。
これならショーが終わったらきれいに出来るし、
自然な汚れといつのまにか入れ替わってくれるはず。
一番苦労したのはタンク後端から上に沿って回る肩のライン。
前に行くにつれて少しずつ肩の断面のアールが緩くなるようにしている。
塗装前はこんな感じ。
メインの溶接は碧南の工場長にお願いしました。
工場長はショップと道具を貸してくれて
現場でタンクの部品を切り出して合わせながら仮付けして、
きっちりティグで溶接していただきました!
タンクのコックとバングスの位置はエンジンを積んでから確認して決めたかったので、
東京に帰ってからいつもお世話になっている
グローリーエンジニアリングさんできっちり溶接して頂きました!
いつもありがとうございます!
気になる容量は
右がノーマルタイプ
下がナロースポーツタンク
トンネルはノーマルより少し深くして…
結果は驚きの7.2リットル!
本当に自分が一番驚いた。
後日ガソリンスタンドで給油した結果6.8リットルだった。
思っていたより700ccくらい多かったし
これは嬉しい誤算!
ここから本当に先の見えないパテの日々。
突き合せ面はすこし沈んでいたので、ビードの上にパテを盛って
ちょうど肩のラインにかかるくらい。
わかったのは特定の面を平らにする事より、
連続したラインをきれいに見せる事が何より大変と言う事。
例えばタンクの下の丸みは同じアールで一本のラインできれいに連続していなくては
素人が見てもおかしいってわかる。
どうしても消えない謎のピンホールや亀裂
本当こんな感じで眉間にシワを寄せて一人で黙々とやってた。
朝から夕方までこれやって、夕方から食事して風呂入って明け方まで自分の仕事して
少し仮眠してまた朝から…
ビールも長風呂も音楽も、のんびりした娯楽には全てに背を向けて研いで磨いて塗って乾かして研いで磨いて乾かして…の繰り返し。
朝から晩まで犬小屋の小さなラジカセ(ラジカセだぜ!)から流れるAFN radioだけを聴きながら。
まだ肩のラインが…とかさ
このタンクキャップ周りの平面から降りるラインを均等にするのは本当に難しかった。
眺めて
細かいところを埋めて
時々黒く塗ってラインを見て。
レイズモーターサイクルのよしみさんからアドバイスや塗料の情報を教えてもらったり、
焦らない焦らない…
かなりの自作派兄弟で板金の仕事してるT&T Garageのイマチ君から素晴らしい
ペーパーや塗料を持って来てもらったり。
本当に励みになりました!ありがとうございます!!
平行してリアフェンダーも
交互にやれば待ち時間が少なくて済むでしょう。
前側にはフェンダーをフレームに沈めるための切り欠きを入れてある。
ここに三角板を貼ってやると、
横から見た時にタイヤの同心円上にフェンダーを取り付ける事ができる。
今回タイヤとのクリアランスを取ったので
前側にも寄せる必要があったので。
ここで均等な連続面の洗礼を受ける。
特にこちら側はオークションで届いたリアフェンダーを水洗いしてランクルのスペアタイヤの上に干しておいたのを忘れて強烈に落下させてしまったので
もうそのまま車で踏んづけて捨てたくなるくらいベッコリ潰しちゃって。
まだこの段階では角が不均等で潰れたのがわかる。
同時に首も少し補強の大きさを増やして。
タブの前を何気なくスムージングしてたらタンクの輪郭に影響してる!
ここは別の部品であることがわかるように角をはっきりさせて
タンク前のラインをキチンと出す。
だんだん作業をしていくと、こうやってしつこい修正ややり直しもあるので
自分でやって良かった!と思えることもある。
やっぱりお金も時間もかかることだし、
プロに無制限にやり直ししてもらうわけには行かない。
バイクはともかく、僕の仕事に関して言えばプロと仕事して発生する
やり直しの8割は頼む側に責任がある。
数値や仕様と完成品が頭でリンクしていない(出来て来たら思ったのと違う)
伝え方が下手(もっとふわっと、とか柔らかくみたいに曖昧)
注文側の完成イメージが出来ていない(とりあえず一つ作ってみて!)
ともかく造形みたいな感覚的な作業が入ると
自分のイメージを100%相手に伝えるのはとても大変。
今回外装はソフト99を中心に、フレームは教えてもらった塗料とか使ったんだけど
ペンキとパテだけで2万以上使ってる。
うまく行かなくて心が折れそうになったときは
「焦らない焦らない」
「自分で作るから自作」
この二つの言葉を何度も繰り返しながらタンクは完成した。
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