Tuesday, July 10, 2018

イタリアの旅自転車編 その2

さて夜も更けたし、山本君は明日も仕事である。今夜のところはこれにて解散、
ということで3人でわいわい言いながらホテルに向かう。
小さな町のいいところ、食事をしたカフェから山本邸までわずか30秒、僕らの宿までも歩いて3分かからないくらい。ヨーロッパの石畳の道をガラガラと荷物を転がしながら歩く。



まるでカリオストロの時計台みたいな教会の塔を見ながら部屋に向かうんだぜ。

いくら車で探しても見つからないのもそのはず、ホテルには看板もなければ目印もない。
築200年くらいの建物の一室で、僕と野口君は隣の部屋なんだけど、玄関は部屋ごとに別になっている。まるで自分のアパートを借りたような素敵な気分なんだ。

イタリアの小さな町に下宿するみたいな、
飲んで帰っても自分のアパートメントに帰るようないい気分である。



プレステ2のグランツーリスモに出て来るイタリア編みたいな
狭い狭い路地の先に
ブービーって言う名前の犬が待っていてくれた。
この犬にカギをもらってドアを開けると

僕にはおよそ似つかわしくない可愛い部屋があるのだ。
一見ただの古い部屋みたいだけど、室内は統一感をもってデザインされてる。
椅子は世界の名椅子に選ばれたような素敵なやつ。
解散してシャワーを浴びて、トランクをゴソゴソやりながら日本から修理して持って来た自転車の部品を出していると、もう12時。
その時ドアがコンコンってノックされた。

何ごと?と思って玄関の扉を開けるとさっき別れたはずの山本君が立っている。
聞けば今からガレージで自転車を見せてくれると言う。
毎朝4時に起きる早寝の野口君を気遣って、一度解散して家に帰ってからまた呼びに来てくれたんだ。

僕は夜の住人なので夜更かしは全然問題ない。
そこで彼が借りている地下ガレージに連れて行ってもらうと。
2コマある自転車とバイクのガレージのひとつにはこんな作業テーブルが

きっと彼はこのテーブルに向かって夜な夜な作業をするんだ。
稚内より北にあるんだ、真冬は凍てつく寒さだろう。
冷えきった金属の工具なんてどうかしたら手にくっついちゃうかも知れない。

アンビルや万力、ものを作る人のテーブルである。



子供って自分の父親のこんな姿を意外に良く覚えているもんだ。
暗いガレージでテーブルに向かって物を作ってるところとかさ。
テーブルのサイズも僕と同じくらい。
真っ暗な床にナットみたいな部品が落下すると探すの大変なんだ。
その苦労もよくわかるぜ山本君
そしていよいよ週末のイベントで僕と
70キロの旅を共にする自転車と対面






日本でチーターにロウ付けしてもらったカーバイドランプはこの自転車に付くんだ。
ロッドブレーキなんて現代の実用車とほとんど同じ。
1924年だよこれ!
自転車っておよそ100年前には、ほぼ現在の形が完成してたんだな。



カーバイドランプを取り付けているところ。

付いた!元々より厚みのある素材を使って、部分的に折を入れたり
しっかり溶接してもらったのでかなりしっかりしているはずだ。

70キロのイベント中に壊れたり貴重なランプが落ちたりしないように

これは実に雰囲気あるものだね。


あいにくカーバイドはなかったので点灯はできなかったけど。
このランプの付いた1920年代号は野口くんが乗ることになる。

Rudge Whitworth "AeroSpecial No.6" probably 1924 model.



ガレージにはこんな素敵なソリがある。
長い冬を楽しく過ごすための遊び道具。
500円のプラソリよりかなり豊かな気分にならない?


そしてこれが僕の相棒!
可愛いと思わない?繊細な鉄フレームに、内装三段の変速機付き。
昔のセミドロップハンドルみたいなハンドルが付いている。

すでに山本君によって念入りに整備されているので、あとはサドルの高さとかちょっとした調整をしたら完成だ!
またがるとまったく現代の自転車と変わらない。ギアも3段あるので、ちょっとした坂ではかなり違う。思ったより全然軽いし、乗りやすいんだ。明日は朝からこれで慣熟走行のピクニックに行く予定なのである。
僕はすっかり嬉しくなって地下のガレージにある共同スペースを意味もなくグルグル走り続けたのである。










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