横浜市にお住まいのAさんからメールが来ました。
こんにちは、いつもブログを見ています。お願いがあるんですがDEUS BIKE BUILD OFFでみんなが見ていたノートの中はどうなっているんですか?
もしよかったら中を見せてください。
ちょっと省略してるけど、だいたいこんな事が書いてあった。
そのノートとは、
バイクのところに置いておいたり
説明の時に資料にしたり
退屈しのぎに眺めてたスケッチブックのことだと思う。
こんにちはAさん
いつも見ていただいてありがとうございます。
以前から言われてたけど、僕がしつこく作ってる犬号、ノーマルに比べてどこがどうなってるのかわからない。という意見がとても多かったので、それに対する回答として描いたのがこのスケッチブックなんです。
と言う訳でリクエストにお応えしてあのスケッチブックの中身を公開しよう!
市販のスケッチブックに絵を描いて
要らないページは横のリングを緩めて一旦全部取ってある。
何度もやったからリングがガタガタになっちゃった。
一枚目
ざっとしたことが書いてある。
さりげなすぎてわかりにくいけど
こういうことです。
こういうタンクを分割して詰めたりするのって、周りのみんなを見てると当たり前みたいだけど、
普通の人にはかなり変わった行為に見えるらしいよ。
となりにバイクがあると見比べられるから効果があったと思うな。
立体のためのプレゼンテーションと思って描いた部分もある。
この辺は写真を見ながら描いた。
デッサンの上手いとかヘタってホイールのパースをキッチリ描けるかどうかじゃないかなって思う。
もちろん僕はヘタです。
なのでキャラクターでゴマかせ!!
カンガルーじゃないよ。
これはなんで鋳物のフレームがカッコいいと思うかと
ネックをどうやって加工したかを説明してる。
ほんとにこのマンガの部分で二つに切ってフレームをやり直してるんだ。
ネックは車検のこともあって下側の2本だけを加工して、
プレスのプレートの補強を切って厚い鉄板の補強に変更した。
あと首を3度立ててある。
この状態だとすこし立ち過ぎにも感じるけどこの先の作戦があるのでこれで良いのだ
あと、右ページのご婦人はちょっと似過ぎてていろいろ差し障りがあるので
今日は顔にボカシをいれました。
これは鋳物部品を解説するページ
「自分で作るから自作」これは孤立無援で(と自分では思っていた)氷のように冷たい風が吹き込む深夜の犬小屋でパテを研いでいた時にマントラみたいなに唱えていた言葉。
誰かに塗装やってもらってただ待ってる世界中の人がとにかくうらやましかった。
でも人間と言うのは勝手なものでだんだん思った通りに形が出来るようになってくると
パテもかなり楽しめるようになってきた。
さて、実際アルミの鋳造は基本的な道具と溶かすアルミさえ揃えば1回あたりのコストは
送風機の電気代と木炭代くらい。
下のマンガのヘッドライトバイザーなんて、このサイズどこにも売ってないし、形だって自分の頭の中にしかないし、誰にも頼めないし、本当に作るしか手がなかった。
この辺、描いててだんだん面白くなって来てただのイメージの羅列になってきたので…
これではいけないと思ってルールを記入してみた。
ファイトクラブでタイラーが高らかに宣言するようなイメージで
第一のルール!
走って曲がって止まること。
他に何て表現したらいいかわかんないけど、ちゃんと走ってくれる事が
第一のルール。
擦っちゃっておっかなびっくりになってスムーズなコーナーが出来なかったり、
塗装が心配だからダートは走れないとか、ブレーキが効かないなんてのは
犬号としては失格。
なかなかエンジンがかからないとかもイヤだな。
自分しか乗らないし、多少のクセはあってもいいから、
ともかくちゃんと走って曲がってきっちり止まるのを重視した。
第二のルール!
改造しすぎない。
もう十分改造し過ぎてる僕が何を言うかとお思いでしょうが、これはかなり重要なことで
誰が見ても「あっ、ここは延長してるな!」とか「ここを切ってるんだな」ってのがわからないように改造したかったんだ。
基本的にノーマル的なシルエットとフォルムを崩さずに、全ての部品に手を加えて
全体をバランスさせる。結果として調和がとれたというか、あまり奇抜なバイクにならなければそれが一番と思ってるんだ。
ボディビルの人ってすごい身体してるじゃん。
あれって元はみんな普通の身体つきだったのをどんどんトレーニングして筋肉が付くと面白くなって結局あんなすごい身体になっちゃうはず。
誰もが始めは少しお腹をすっきりさせたいとか、腕がもう少し太かったらいいな、なんて軽い気持ちで始めてたのが、心身のエスカレートの結果としてああなるんじゃないか。
リアがすごく太いバイクとか、ものすごく細いバイク、やたら小さいバイク、反対にどでかいバイクも作る上でみんなボディビル的エスカレートの要素が入って来てるはず。
そういう意味で犬号はシルエットをノーマルから崩さないで出来ることをしたかった。
内的にかなりエスカレートしたことは否めないけどさ。
こういうやり方は労多くして実りが少ないと思う人も多いだけろうけど、
なにより自分のための自分のバイクだから、俺がよければいいかと思ってね。
犬号でやり過ぎたのは、トリプルがついついナローになり過ぎたのと、リアのスイングアームは短くしたけど後期型の長いので良かったかな。
第三のルール!
お金をかけるなら手間をかける。
これはあまり大きな声で偉そうに言えないこともたくさんある。
安く済んだから全てオッケーなんて絶対言えない、ごめんなさい。
費用面や部品のことでたくさん協力してくれた人たち、
いろんな技術を出してくれた人たちの協力の上に成り立ってるから、
その人たちへの存在なしには犬号はなかった。
でも、たとえば売ってる部品を買わずに自分で鋼材から作るとか、
塗装や板金も自分でやるとか、
なるべくマシニングや旋盤をお願いしないでボール盤のチャックに部品を咥えて
サンダーやヤスリで削るとかさ。
それと、これは碧南の工場長に部品を作ってもらったときに言われたんだけど、
対価としてお金を払うんじゃなくて、お互いの出来る事で協力し合おうって。
彼には僕がカウベルを作って旋盤の部品をつくってもらったり、
AKOさんのステッカーのデータを作ってガレージを使わせてもらったした。
もちろんかなり僕の借りが大きいので、これは少しずつ返していくしかないよね。
それに水戸のハットリさんにはたくさんのステッカーを作ってもらってる。
もうね、タンクデカールなんてちょっと機械動かして停めるだけで3000円くらいかかっちゃうんだって。
それを何度も停めたり動かしたり、色味や雰囲気が合うまでたくさんやってもらって
あのタンクデカールが出来たんだ。
他にもその時の気分や貼りたいバイクの雰囲気に合わせていろんなステッカー作ってもらったな。
板金と塗装…
このプロセスが一番僕の心を痛めつけた。
もう絵にすることもできないくらい。
クリアを磨き終わるその時まで、うまく行かなかったらどこの塗装屋さんに頼もうか、
今ならまだ取り返しがきくかってずっと自問自答しながらひたすら手を動かした。
自分で作ってる人もお店も塗装とシートは本職に頼んでるところは多いし、それが当然。
ただパテや造形に関しては、こまかい注文がたくさんあるなら自分でやる方がイメージに忠実に出来るとも思った。
最後のページ
これは素晴らしきヤスリの世界を紹介しているページ
この辺はすべて手ヤスリ。
こっちはヤスリとリューターでマシニング加工の痕跡を消して
手仕上げの風合いを出した。
裏のページにはこれだけ。
これでおしまい!
コツコツ作るのも自己満足なら、作ったところをマンガに描くのも自己満足の延長。
僕は昔から絵を描くのが好きで、作業前にもざっとマンガみたいな絵を描いて段取りや頭の整理に使ってるからこれからも機会があれば描きます。
それでは!
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