Sunday, January 26, 2014

シロウオについて


昨日見て来た「シロウオ」
映画館の暗闇の中でいろんなことを考えながら見ました。
とても美しい自然とそこに住む人々が原子力発電所の計画に対してみんなで立ち上がって
建設をさせないようにするというとてもいい話なんですが、


この映画はDVDにして食事や生活をしながら見る事は難しいかも知れません。

質問のテロップはとても小さくてテレビでは良く見えないでしょう。
ストーリーの流れを整理するナレーションはほとんどありませんし、
わかりやすい地図や地域の説明も何もありません。

ただ美しい土地に住んで発電所の計画と戦った人たちの朴訥なインタビューが流れているだけです。


でも話をよく聞くと、反対運動を中心となってやっているひとは手弁当で、
他のみんなは毎日漁に出て何十万と稼いでいるのに、彼だけは

毎月何万円もガソリン代や外食代がかかって奥さんに文句を言われ、父親にも小言を言われてる。
そういう一部の人の苦しい事情があってはじめて発電所を追い払えるんだと。
みんなで協力して…なんて言ってもやっぱり誰かが生活を犠牲にして必死に動かないと
市民対行政の戦いで勝ちをおさめる事は難しいことがわかります。




当時に原発に賛成した人の意見も入っていたらもっとよかったし、
どうやって戦ったのか、戦いから勝利を得るまでのプロセスを織り込んだらもう少しストーリーがあってよかったとも思いました。

お茶の間でも気軽に観られるようにするためのありふれたテクニックやテレビで氾濫してるBGMや効果音とは無縁の映画ですが、
その分、暗闇の中で、邪魔が入らずにきっちり映画と対峙する100分間の間、インタビューイの息づかい、表情などが本当に伝わってきます。
お手軽に家でDVDでなくて、映画館でじっくり見てもらいたいと思うのはこういうところです。


インタビューにはテロップもなく、インタビューアの声もなく、
少しでも気を抜くと何を言っているのかわかりにくい人もいます。
言い直してもくれないし、モゴモゴしてる人もいます。
でもそれが彼らのリアルな証言なのです。

その証言を聞きながら、お話を構成するのは映画を見ている僕ら自身です。
最後まで観て理解するには集中力が必要な映画です。

でも、この話を簡潔にまとめたり文章化してしまうと、インタビューに答えてくれた人たちの息づかいや、言葉にならない思いのようなものはどんどん指の間からこぼれてしまうように思います。

シロウオを見る事で、観客はかさこ監督が現場で聞いたとおりの、人々による生の言葉を追体験するのです。




ラスト数分の自然の風景は本当にきれいです。
是非機会があったらみなさんにも見てもらいたい、
そして原子力発電所ができるということは、
どういうことなのかを考えてもらいたいのです。

長くなっちゃったので強引にまとめると、一人でも多くの人に見てもらいたい映画です。










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